妻が扶養を外れると就学支援金は?私立高校の場合とかボーダー対策とか

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妻がパートで働いて収入を増やしたいときに、収入が増えても手取りが減るという「収入の壁」にぶつかることがあります。

高校の授業料無償化制度としてはじまった高等学校等就学支援金制度も、パートで収入を増やそうとすると「収入の壁」になることがあります。

妻が扶養を外れると就学支援金はどうなる?

妻が扶養を外れると、就学支援金は減額されることがあるか?

答えは「そういうこともある」ということになります。

まず「扶養を外れる」という状況が何を指しているのか、この短い言葉ではあいまいなのですが、それは横に置いておくとして、家計全体で収入が増えると就学支援金が減る可能性があります。

これを理解するためには、まず就学支援金制度について簡単にみておきましょう。

就学支援金制度は、もともと高校の授業料無償化制度としてはじまりました。

しかし公立高校と私立高校との間で教育費負担の格差が大きかったり、低所得世帯では教育費負担が重いままだったりと課題もあったので、法改正で所得制限を導入し、所得の多い世帯には授業料を負担してもらい、浮いた財源を子弟が私立高校に通う低所得世帯に当てるようにして、平成26年4月以降に現在の制度となりました。

所得制限や金額加算の基準は、世帯の「前年分の市区町村税所得割額」の金額で、就学支援金支給額は以下の表のとおりです。

表(私立高校の場合)

市区町村税所得割額支給月額(円)支給年額(円)
0円(非課税)24,750297,000
100円以上85,500円未満19,800237,600
~257,200円未満14,850178,200
~507,000円未満9,900118,800
507,000円以上00
  •  公立高校は所得割額507,000円未満で全日制月額9,900円、定時制月額2,700円、通信制月額520円

ポイントは、市区町村税所得割額が両親の夫婦合算で計算されることです。

妻の収入が増えて、住民税を支払うぐらいになると、金額次第では就学支援金支給額が減ったり、所得制限にかかって支給がなくなるわけです。そして、妻が支払う住民税がそこそこの金額になったとき、妻の収入は扶養を外れないといけないくらいになっているでしょう。

妻が扶養を外れるのは、社会保険に関しては収入増だけが理由ではありませんから、就学支援金が減ることとの直接の因果関係はありませんが、同時に起こりやすくはなっています。

どんなときに妻が扶養を外れることになるかについては、こちらの記事でくわしく書きましたので、興味のある方はお読み下さい。

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就学支援金 私立高校の場合

子弟が私立高校に通っている家庭に対して、就学支援金は家計の所得が少ない世帯には支援金額を加算して負担軽減を図っています。これは家計の状況にかかわらず、教育の機会をできるだけ平等にしようという主旨で国策としておこなわれています。国の実施する就学支援金制度の他に、都道府県が独自に行う授業料支援制度もあります。

たとえば東京都の場合、東京都私学財団が「私立高等学校等授業料軽減助成」をおこなっています。同じような制度は、北海道にも大阪府にも福岡県にも、もちろん全国の府県で同様の制度が運用されています。

制度の内容や支給要件はそれぞれの都道府県が独自に決めていますが、所得の基準は「夫婦合算の住民税額」になっています。

都道府県で運用している制度ですが、支援する金額をみれば就学支援金よりも充実していることも多々あります。

逆に、家計が就学支援金を減額されるような所得状況にあると、都道府県独自の制度の方でも減額となる可能性は高いので、私立高校に通う子どものいる家庭では、都道府県毎の授業料支援制度にも目配りが必要です。

都道府県独自の授業料支援制度の詳細は、各自治体のウェブサイトなどを参照して下さい。

もし妻がパートで所得を増やした結果、就学支援金や自治体独自の授業料支援が減額されたり受けられなくなったりすると、その減額分をカバーするには数十万のレベルで収入を上げる必要があります。しかしこれがカバーできないと、家計が実質的に使えるお金は減ってしまいます。

どのくらい収入を増やさないと減額分がカバーできないか、こちらの記事でできるだけ具体的に試算しましたので、興味のある方はぜひお読み下さい。

関連記事>>>扶養を外れる損得 主婦の収入の壁とは何か 損益分岐点はいくらか

同じハードルは世帯主が昇給昇進などで収入が上がっていく中でもあるのですが、昇給昇進は一朝一夕には成せないので時間がかかるのに対し、専業主婦がパートを始めると一気に家計収入が増えるので、子どもが高校に通っている3年間というわずかな間に、いきなり使えるお金が減ってしまう事態に直面する可能性があるのです。

就学支援金のボーダー対策

妻がパートを始めて「市区町村税所得割額」がボーダーラインを超えそうになり、いきなり就学支援金減少の危機に直面したとき、「市区町村税所得割額」を抑えてボーダーの下にすることはできるでしょうか?

就学支援金支給の判定基準となる「市区町村税所得割額」は、支給年度の前年の金額(生徒が1年生の場合は前々年と前年の2年分)を使います。つまり来年度の就学支援金の支給額は、今年の所得で決まるのです。

収入を減らすのはなかなか難しいと思いますが、税額を計算する基礎になる所得を減らす手はいくつかあります。

その方法はざっくり書くと、所得控除や税額控除を増やすことです。

所得控除には、医療費控除やふるさと納税による寄付金控除などがあります。税額控除だと、住宅ローン控除が税額を減らすのには効果的ですが、まさか就学支援金を減額しないために借金して家を買う人はいないですよね。

医療費控除も結果的に大きな金額になることはありますが、わざわざそのために病気になるわけにもいかないでしょう。

※ 2020年7月以降、制度が変更されて、税額控除を増やして所得を減らしても就学支援金の支給基準には影響しなくなりました。そのため、以下の記述は取り消します。

就学支援金を減らさないという程度の目的に有効かつ現実的なのは、ふるさと納税などで使える寄付金控除に絞られてきます。

※ (追記)平成30年7月以降の就学支援金には、ふるさと納税の寄附金控除によって、市区町村税所得割額を減額するのは有効な手段でしたが、法律が改正されて寄附金控除前の所得が就学支援金の所得要件になると、この方法は無効になります。

ふるさと納税は、故郷であってもなくてもいいのですが、居住地の市区町村以外の市区町村にふるさと納税(寄附)を申し込むと、寄付先の特産品や家電製品などを御礼の品としていただける、とてもおトクな制度です。一定の限度額の範囲で(寄付金額-2,000円)が所得控除と税額控除に使えるので、意図的に「市区町村税所得割額」を減らすことができます。

僕もふるさと納税をしますが、ふるさと納税ポータルサイトの「さとふる」は提携自治体が多くいろいろな御礼の品が選べて、多様な決済手段が用意されていて年末ギリギリに寄附する駆け込みのふるさと納税にも対応しています。

さとふるを使うと、家計の所得がほぼ確定する年末ギリギリまで寄附金額を決めないでいられます。このことは、ボーダーを超えないように翌年度の市区町村税所得割額をコントロールするのには、実に使い勝手がいいのです。

さとふるの公式サイトには、ふるさと納税の全貌を学ぶためのコンテンツも豊富にありますので、ふるさと納税に興味のある方はぜひご覧になって下さい。

まとめ

扶養を外れるかどうかとは直接関係ありませんが、就学支援金や都道府県独自の授業料支援制度は、専業主婦の妻が新たに仕事をはじめるときに夫の所得水準によっては「収入の壁」になる可能性があります。

市区町村税所得割額が就学支援金の減額になるボーダーラインを超えそうな見通しになったら、ぜひともふるさと納税をすることで金額を抑えられないか、検討してみて下さいね!

このブログでは、自己負担が2,000円で済むふるさと納税の限度額の計算の仕方など、参考になりそうな記事をいくつか書いていますので、お時間のあるときにでもお読み下さい。

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就学支援金と同様に、保育園利用料も夫婦合算の「市区町村税所得割額」が基準となります。就学支援金とちがって、こちらは支払う金額の決定に関わるものですが、家計所得が高いほど保育料が上がるので、その負担増が「収入の壁」になりえます。

保育料の決定方式は、所得水準だけでなく保育される兄弟姉妹の人数も検討対象になります。詳細はお住まいの市区町村のウェブサイトなどでご確認下さいね。

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