制汗剤の成分は安全なのか?汗を止める仕組みと体への影響について

美容・健康
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汗のベタつきやニオイで不快な思いをしたくない人には、汗を抑える制汗剤はありがたい存在です。

でも、有効成分にアルミニウムが配合されているので、副作用とか体への悪影響がないかと心配になる人もいるようです。

そこで、本当に体に悪影響がないのかどうか、信頼できる情報を探してみました。

制汗剤の成分は安全なのか?

多くの市販の制汗剤は【医薬部外品】として販売されています。制汗剤に配合されている有効成分は、どれも長く使われてよく知られている成分です。制汗作用のある成分が配合されている薬用化粧品も、医薬部外品の一種です。

医薬部外品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に定める基準によって厚生労働大臣が承認します。正しい使用方法を守れば、安全性と有効性を国が認めているものです。

(医薬部外品は)効果・効能の認められた有効成分が含まれていますが、人の体に対する作用が穏やかなもので、日常的な不快感の緩和を目的とする育毛剤、入浴剤などが該当します。従来の効能に殺菌や消毒効果を強めた「薬用化粧品」も、化粧品ではなくここに含まれます。
殺虫剤、殺そ剤など人または動物の保健目的に使用されるものも医薬部外品です。
また、比較的安全性が高いと判断され、医薬品から移行した整腸薬などの「指定医薬部外品」もこの区分です。

出典:「-薬に関する情報ガイド-薬のやさしい基礎知識」タケダ健康サイト

もちろん肌につけるものなので、副作用が皆無ではないのですが、危険があるのではないかと過度に心配する必要はないものです。

では、具体的にどんな成分が配合されているのか見ていきましょう。

制汗剤の成分には、汗を抑える作用、ニオイを抑える作用のある有効成分が配合されています。

有名な制汗剤には花王の8×4、ライオンのBan、資生堂のAGデオ24、マンダムのギャツビーなどがあります。これらのナショナルブランドでよく使われている有効成分は、以下のとおりです。

  • 制汗成分:クロルヒドロキシアルミニウム、焼ミョウバン、フェノールスルホン酸亜鉛
  • 防臭成分:イソプロピルメチルフェノール(シメン-5-オール)、塩化ベンザルコニウム

制汗に使われているミョウバンの別名は「硫酸アルミニウムカリウム」です。ミョウバンは古代ローマですでに制汗剤として使われていた、といわれています。

クロルヒドロキシアルミニウムもフェノールスルホン酸亜鉛も、アメリカで制汗剤の効果を比較検証した50年以上も前の学術論文に、有効成分として記載されています。

A Clinical Evaluation of the Effects of Deodorants and Anti-Perspirants

この論文に記載されているAluminum chlorhydroxideがクロルヒドロキシアルミニウムで、Zinc phenolsulfonateがフェノールスルホン酸亜鉛です。

市販薬には配合されていませんが、塩化アルミニウムも制汗成分として使われています。効果がある分肌への刺激も強いため、医師の指導のもとで第一選択の外用処方薬として多汗症の治療に使われています。

防臭剤に使われているのは殺菌剤です。

汗はほとんど無臭ですが、皮膚の雑菌が汗の成分を分解してニオイを発生させます。そこで雑菌を抑えるために、殺菌剤が配合されているのです。

イソプロピルメチルフェノールも塩化ベンザルコニウムも、消毒剤として医療現場などで日常的に使われている一般的な殺菌剤で、制汗剤に限らず多くの医薬品やヘルスケア製品にも含まれているものです。

制汗剤が汗を止める仕組み

制汗剤を肌に塗ると

  • 有効成分がタンパク質と反応して、汗腺や毛穴を詰める栓をつくる
  • 有効成分の収れん作用で、汗腺や毛穴を引き締めて汗の出口をせまくする

という2つの反応がすすんで汗を止めます。

汗の出口を物理的に塞ぐことで、汗が出ないようにする。これが、制汗剤が効果を発揮する仕組みです。

汗自体の発生を止めるものではないので、止められた汗はほかの汗腺や毛穴を通して出ていくとされています。

しかし、この仕組みはつい最近まで解明されていなかったそうです。

(塩化アルミニウムの外用療法は)治療としての長い歴史がありながらその作用機序は未だ明らかにされておらず、不明な点が多い。

出典:科研費助成事業 研究成果報告書「多汗症に対する外用治療薬の効果と作用機序の解明」

「作用機序」というのは学術的な言葉ですが、「ものごとが起こる仕組み」と言い換えてもいいでしょう。何がどうなってどうなるかという「ある現象が起こる因果関係」をいいます。

上記の引用元は、国から費用の助成を受けている研究に関する報告書ですが、2014年の日本皮膚科学会で「塩化アルミニウム外用による角化への影響」として論文が公表されています。

制汗剤は何十年も使われているのに、作用機序の解明がつい最近になったのは意外ですよね~

でも、昔から経験的に効果があるとわかっていたことが、科学的に解明されたのはわりと最近(ここ10年くらい)ということは、案外多いです。

それは、最近になって電子顕微鏡をはじめとする観察技術の精度が、飛躍的に向上したことと関係があります。以前は見ることのできなかった「作用機序」が分子レベル、原子レベルで見られるようになり、ようやく仮説通りの現象が起こったと確認できるようになったのです。

論文では、塩化アルミニウムの塗布によって、汗腺の皮膚表面に近い場所が角栓で塞がれて発汗が抑制される、と書かれています。

角栓は、表皮の角質内のタンパク質と有効成分に含まれるアルミニウムからできたことが観察されました。収れん作用の観察は、それを示唆する細胞の変化はあったようですが、証明する実験が組めなかったので今後の課題としています。

これは、予算か時間が足りなかったようですね。

残念ながら、この報告書をつくった研究グループが今後の課題としていた、収れん作用の作用機序は未解明のままのようです。もしかしたら解明されているかもしれませんが、私は専門家ではなくエビデンスを探すことはできませんでした。

ミョウバンをふくめてアルミニウムの化合物が有効成分になっている制汗剤は、基本的に塩化アルミニウムと同じ作用機序になるでしょう。

余談ですが、汗をかかないようにする薬もあります。

これは内服薬で抗コリン薬とよばれています。脳が出す汗をかく司令が皮膚に伝わらないように、脳の司令を伝える神経伝達物質アセチルコリンの機能を邪魔する作用があります。

制汗剤の体への影響について

前章で引用した論文では、塩化アルミニウムが肌表面で皮膚のタンパク質を変性させるけれど、汗腺の奥の方までは影響していないことを観察したとしています。

長期間の塩化アルミニウムの外用によって塩化アルミニウムの蓄積は生じないと考えられた。

出典:科研費助成事業 研究成果報告書「多汗症に対する外用治療薬の効果と作用機序の解明」

つまり塩化アルミニウムは、肌の表面で作用して制汗効果を発揮し、肌の奥の方までは入っていかないことを明らかにしています。

最も肌への刺激が強いとされる塩化アルミニウムでも、体内に蓄積しないということなので、制汗剤の有効成分として配合されているアルミニウム化合物は体内で重大な問題を起こすことはなさそうです。

アルミニウム系ではない制汗成分のフェノールスルホン酸亜鉛は、アルミニウムとは若干作用機序がちがうようです。

とはいえ、汗を抑えるメカニズムはどれも「人工的に角栓を作って汗腺をふさぐ」と、基本的には同じ。汗の水分に溶けてゲル状になるクロルヒドロキシアルミニウム(ACH)や塩化アルミニウムなどで汗腺をふさぐ、汗に含まれるたんぱく質に反応して凝固するパラフェノールスルホン酸亜鉛で汗の出口を小さくする、といった手法が用いられている。

出典:日経ウーマンオンライン:ワキの黒ずみ、加齢臭にも対応の最新制汗剤 2015/7/27

フェノールスルホン酸亜鉛に関しては、学術論文が見つけられませんでしたが、アルミニウムほどの強い制汗作用がないことがわかっているので、体への悪影響もアルミニウム以上にはなさそうです。

アルミニウムの健康へのリスクに関しては、こちらの記事で専門家の見解を紹介しました。関心のある方はぜひお読み下さい。

関連記事>>>制汗剤で乳がんになる?アルミニウムの影響とか発がん性とか

フェノールスルホン酸亜鉛は、主に肌の薄い顔にも使える制汗剤の有効成分として配合されています。有名なブランドでは資生堂のシーブリーズシリーズの製品に使われています。

顔汗用の制汗剤は、街の薬局などで市販されているものはないようですが、化粧下地にもなる薬用化粧品としてネット通販で販売されています。

サラフェプラス
テサラン フェイス
  • 30g(約30日分)
  • 初回3,218円、2回目以降5,918円(税込)
  • 送料無料
  • いつでも休止できます
  • 公式サイト限定 25日返金保証
  • 15種の美容成分配合
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関連記事>>>顔汗を止める方法 汗の化粧崩れを防止する下地 アットコスメの評価は?

まとめ

制汗剤の有効成分は、正しい使い方をしている限り、体への悪影響はないようです。

汗の気になる季節には、心配せずに使っても大丈夫なのではないでしょうか。

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