顔汗を止めるための情報を調べています。
顔汗がすごいといっても、手のひらや脇のような、多汗症としての明確な治療方法はないみたいです。。。
顔汗は多汗症なのか
顔汗がひどいのは多汗症なのでしょうか?
多汗症には全身の汗が増える全身性多汗症と、体の一部だけに汗が増える局所多汗症があります。局所多汗症は、手のひら、足の裏、脇に症状が出ることが多くあります。
あとで見るように、人が汗をかくメカニズムはわかっていて、多汗症はその仕組みの一部が暴走して、生活に支障が出るほどの汗をかくものです。
汗をかく仕組みの暴走する理由がほかの病気などではないものを、原発性多汗症といいます。その原因は、遺伝性とかストレスなどが上げられていますが、実はまだよくわかっていません。
手汗に関する原発性多汗症は、人口の5.3%の有病率(平成21年度全国疫学調査)、国民の20人にひとりが罹っているという大変多い疾患です。
多汗症の重症度は、本人が耐えられるか、我慢できるかという基準と、発汗量の多さの基準があります。発汗場所と重症度によって「診療アルゴリズム」という治療のガイドラインが日本皮膚科学会によってつくられています。
参考サイト>>>皮膚科Q&A 汗の病気-多汗症と無汗症- 公益社団法人日本皮膚科学会
しかし、顔汗を対象にした治療のガイドラインはありません。患者さんの数が少ないのか、明確に効果のある治療が確立されていないのか、理由はよくわかりませんが、もしかすると日本皮膚科学会では病気とは考えられていないのかもしれません。
それでも多汗症の治療法は、顔汗を止める方法の参考になると思うので、多汗症の治療方法をみていきましょう。
発汗のメカニズムを知る
発汗のメカニズムを知っておくと、治療法を理解しやすいので、まず汗がでる仕組みをみておきます。
人が汗をかくのは、以下のようなときです。
- 温熱性発汗:脳と体を冷やす目的で、手のひらと足の裏以外の全身、とくに体幹部から多くでる。
- 精神性発汗:緊張や不安から生じる。手のひらと足の裏から出る。
- 味覚性発汗:辛いものなど刺激の強い食品を食べることで発汗する。頭、顔から汗がでる。
このとき、体の中では以下のことが起こっています。
まず、脳から「汗をかけ!」という司令が出ると、交感神経を通してシナプスに伝わります。
次に、シナプスから神経伝達物質アセチルコリンが分泌されて、汗腺受容体につきます。アセチルコリンは脳の司令を汗腺に伝える役割を担っています。
最後に汗腺が汗をつくり、汗腺や毛穴が開いて汗を出します。
発汗には男女差があり、一般に男性の方が汗をかきやすくなっています。これは女性ホルモンのひとつである卵胞ホルモンの影響だそうです。
女性の更年期障害で多汗の症状がでるのは、閉経で卵胞ホルモンの分泌が低下するからです。出産後にも、卵胞ホルモンの低下で同様の影響が出やすくなります。
汗腺の大半を占めるエクリン腺は、活動と休眠を繰り返します。その数は2歳半ごろまでに決まりますが、生活環境や生活習慣によって活動の度合いが変わります。
暑いところで生活すると汗をかきやすくなり、寒冷地に暮らしていれば汗はかきにくくなります。季節によってもちがって、同じ温度でも夏には汗をかいて冬はかかなかったりします。
また、日頃運動をする人は、汗腺が活発にはたらいて、運動しない人よりも汗をかきやすいといわれています。運動不足が顔汗の原因と指摘されることもあります。体の汗腺が休眠していると、体からの発汗が少ない分、汗腺の多い顔から汗がでやすくなるのだそうです。
高齢になると汗腺の活動は衰えがちになり、体の末端から影響が出てきます。発汗機能が足から衰えていき、腰から下で汗をかかなくなったら、上半身に汗をかきやすくなります。
このため、加齢で実は汗をかきにくくなっているのに、汗をかきやすくなってしまったと勘違いする人もいるといいます。
多汗症の治療方法を理解する
日本皮膚科学会の診療アルゴリズム(治療ガイダンス)は、以下のようになっています。
手のひらと足の裏の多汗症は、まず塩化アルミニウム外用かイオントフォレーシス療法で、汗腺から汗が出ないようにします。
塩化アルミニウムに関しては、こちらの記事で詳しく書いていますので、興味のある方はぜひお読み下さい。
関連記事>>>制汗剤の成分は安全なのか?汗を止める仕組みと体への影響について
イオントフォレーシス療法とは、手のひらや足の裏を水道水の入った容器に浸し、直流電流を流す方法です。1回30分ほど通電し、10回前後行うと汗の量が減ってくるとされています。
これで効果がないときは、次の手としてA型ボツリヌス毒素の注射でシナプスのアセチルコリン分泌を抑えて、発汗の司令が汗腺に伝わらないようにします。
重症度が高い患者の場合、手のひらの多汗症では内視鏡手術によって交感神経を切断することもあります。これで、発汗の司令がシナプスに達しないようになります。
手術自体は簡単で期待した効果も出やすいそうですが、代償性発汗といって、ほかの場所からの発汗が手術前よりも増えるという副作用が出ることがあります。なかには手術しないほうがマシだったと思う人もいるそうなので、手術をするかどうかは主治医とよく相談して慎重に検討してほしいと思います。
脇の場合は、まず塩化アルミニウム外用が選択されます。イオントフォレーシス療法は、脇にはできないので選択しません。
効果がないときはA型ボツリヌス毒素の注射を行い、塩化アルミニウム外用との併用も行われます。
すべての症状で、汗腺受容体にアセチルコリンがつくことを妨げて脳の司令を遮断する、抗コリン薬(薬品名はプロバンサイン)の服用が併用されることがあります。
参考サイト>>>皮膚科Q&A 汗の病気-多汗症と無汗症- 公益社団法人日本皮膚科学会
多くは保険適用の治療法ですが、保険外のものも一部あります。日本皮膚科学会の守備範囲を超えたところでは、漢方薬の処方による治療もあります。
多汗症の人は何らかの理由で、交感神経が脳の発汗の司令に過剰反応している、と考えられています。
発汗を止めるには、発汗のメカニズムをどこかで遮断することが有効です。これが、いまの標準的な多汗症治療の考え方です。
交感神経が過敏になっている理由がわからないので、異常な発汗そのものを治す根治は難しく、多汗症の治療はいずれも症状を抑える対症療法です。
顔汗を止めるのも同様で、汗の出口を塞ぐか、脳から汗腺への司令を遮断するか、がいまある選択肢です。
汗の出口を塞ぐのに塩化アルミニウムを外用すると、かなり刺激が強く、かゆみやかぶれが出ることがあります。手のひらや足の裏、脇でかゆみやかぶれが出たときは、しばらく塩化アルミニウムの塗布を休止したり、炎症を抑えるステロイド系の外用薬を併用したりします。
市販の制汗剤の多くは、塩化アルミニウムよりも刺激性の弱いクロルヒドロキシアルミニウムやミョウバン(硝酸アルミニウムカリウム)を有効成分にしています。その市販の制汗剤でも、顔につけるとヒリヒリするぐらいの刺激があり、顔汗を抑えるためには使えません。
肌がうすく敏感な顔は、顔汗にもつかえる肌にやさしいタイプの制汗剤があっています。顔汗用の制汗剤は、こちらの記事にくわしく書きましたので、ぜひお読み下さい。
関連記事>>>顔汗を止める方法 汗の化粧崩れを防止する下地 アットコスメの評価は?
まとめ
顔汗の治療は、皮膚科医でも標準的なやり方が確立されていないようです。でも、悩みの深さは手のひらや足の裏、脇の多汗症と比べて軽いわけではありません。
顔のことだけに、対処法もデリケートな方法が必要ですよね?
制汗剤を使うのなら、顔に使える肌にやさしいものを選んで下さい。
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