なんとか踏みこたえたオーストラリア戦。
ホームの埼玉スタジアム2002で2対1の勝利をおさめたサッカー日本代表は、出場権を獲得できるグループ2位以内の可能性を残して、2022ワールドカップアジア最終予選の10月シリーズを終えました。
埼玉スタジアム2002で行われたW杯予選は、24戦でわずか1敗。
この日もサッカーの神様は日本代表に微笑んでくれました!
オーストラリア戦のレビュー
選手起用とピッチコンディション。
この2つが大きな勝因だったのではないかと思います。
敗れたサウジ戦から、先発MFが3人入れ替わりました。
出場停止明けのMF伊東純也は予定通りですが、MF守田英正とMF田中碧の先発はサウジ戦からの修正ポイントでした。
控えに回ったのはMF浅野拓磨、MF鎌田大地そしてMF柴崎岳です。
サウジ戦の結果によって、さすがの森保一監督もボランチの序列を変えることになりました。
さらに、ボランチタイプのMF遠藤航、守田、田中を同時に起用して、フォーメーションも変えてきました。
川崎でもコンビを組んでいた守田、田中はワンタッチ、2タッチでボールを動かし、相手選手に囲まれても平気でボールを受けて前を向く能力を持っています。
これまでは頑なに同じメンバー、フォーメーションで試合に臨んでいた森保監督でしたが、珍しくワクワクさせるような選手起用をしてきました。
森保監督の選手起用は、面白いように当たりました。
先発に抜擢した田中が、A代表3試合目で初ゴールとなる先制点を挙げます。
大迫に代えて投入したFW古橋享梧と、同点に追いつかれたあと南野に代えた浅野の2人のプレーが決勝点のオウンゴールを生みました。
日本の2ゴールは、いずれもDFの出した足に当たったボールが、日本側に有利に変化した結果生まれました。
前半8分の田中の1点目は、南野のクロスがDFの足に当たって少しカーブしたために、クリアしようとしたオーストラリアDFの足が届かず、ボールが田中の足元に入りました。
後半41分の2点目も、浅野のシュートがDFの足に当たって少しホップしたため、オーストラリアGKライアンがパンチで十分に弾けず、ボールがポストに当たって跳ね返り、並走して詰めてきた古橋のプレスに慌てたDFがクリアを失敗して、オウンゴールにしてしまいました。
ライアンは浅野のゴールの前に3回好セーブを見せて、日本のチャンスを潰していました。
とても追加点が入る感じがなかったので、ボールの軌道がDFの足に当たって変化したことは、日本にとっては幸運、オーストラリアにとっては不運でした。
かわいそうなのはオーストラリアの16番、左SBのベヒッチで、ボールのリフレクションに泣かされて2度の失点の当事者となってしまいました。
ベヒッチは、同サイドで対面した伊東にチンチンに蹂躙されて、すべての失点に絡んでしまうという、この日最もツイていないプレイヤーでした。
古橋は、チームで結果を出しているトップの位置で起用されました。
大迫が足を痛めた様子で自ら交代を求めていたので、もしかすると古橋をトップで起用したのは偶発的だったかもしれません。
しかしオウンゴールを誘発する位置にいたのは、CFの古橋ならではの動きでした。
大迫であれば、あの位置いたかどうかはわかりません。
サウジ戦と違ってオーストラリア戦の大迫はとても良いプレーをしていたので、足を痛めていなかったら最後までピッチに立っていた可能性があります。
古橋をトップで起用することもなかったかもしれません。
大迫の怪我はそこまで深刻ではない様子だったので、大迫が足を痛めたことでさえ日本にとっては幸運だったと言えます。
コンビネーションが肝の日本のサッカーは、ピッチが良いと強みが発揮されやすいですね。
何人もの選手が連動する、ダイレクトや2タッチのパスワークが活きます。
サウジ戦のようなグラウンド状態が悪いピッチだと、ボールコントロールでヘッドダウンしやすくなって、止めて顔を上げてパスという動作が多くなります。
ボール扱いに多くの神経を使うと、プレーのリズムが出にくくなり、動きの量が落ちてタイミングも遅くなります。
日本が武器とする連動性が、出にくい。
グラウンドが良いと、代表レベルの選手はボールを止めるときに間接視野で見てほとんどミスをしないので、顔を上げたまま止めてパスという動作が素早くできます。
顔が上がっていれば、視野が広がって回りの動きもより多く見えるようになるので、プレーの選択肢が広がります。
埼玉スタジアム2002のピッチは最高でした。これは大きな勝因だったと思います。
ここで行われたW杯予選では、アディショナルタイムの決勝ゴールが4回もあるそうです。
抜群の勝率も勝負強くなるのも、素晴らしいピッチの状態が後押ししているのではないでしょうか?
森保監督の去就問題
埼玉スタジアム2002では、日本代表はサッカーの神様に愛されています。
10月12日のオーストラリア戦は、これまでのツケをだいぶ回収できた試合だったと思います。
久保建英や堂安律の離脱、伊東の出場停止などがありました。
でも、アウェーのサウジ戦で引き分けていたら、逆にオーストラリア戦は引き分けや負けとなった可能性が高かったのではないでしょうか?
すると、勝ち点は1か2に留まることになります。
関係者の危機感がこんなに高まることも、チームが追いつめられることもなかっただろうし、森安監督が守田と田中を起用して4-3-3のフォーメーションを選択する決断もなかったでしょう。
結果論ですが、サウジ戦の柴崎の大きなミスは、オーストラリア戦で勝ち点3を呼び込む力をチームに与えたともいえます。
オーストラリア戦は、予選が終わって振り返ってみると、大きな転機だったとなるかもしれません。
森保監督の去就問題は、ひとまず落ち着くでしょう。
選手起用を変化させたらうまくいった経験が、今後の予選で柔軟な選手起用、名前や実績に関係なくチームで好調な選手を抜擢する方向につながるといいのですが。
森保監督はオーストラリア戦で、同点の場面で柴崎を投入しました。
森保監督の人柄を端的に示したシーンだったと思います。
選んだ選手は、何があっても信頼する。
良くも悪くもいい人なのが、森保一という人物なのですね。
解説をしていた岡田武史さんやキャプテンの吉田麻也の言葉からは、選手からの信頼が厚い好人物という姿がうかがえます。
1998年に初出場したフランスW杯でカズこと三浦知良選手と北澤豪さんをメンバーから外し、中村俊輔をサブに回して本田圭佑を抜擢した岡田さんのような非情な采配はできないでしょうね。
でも、森保監督をよく知る人たちからは、この監督でW杯ベスト8に到達してほしいという願いが伝わってきます。
実は、日本のW杯本大会の成績は、準備段階で問題があってゴタゴタしていたときほど良い結果を残しています。
逆によくなかったのが、ジーコジャパンの2006年のドイツ大会や、ザックジャパンの2012年のブラジル大会です。
どちらも大会前のテストマッチでは好調でしたし、ドイツ大会では中田英寿、ブラジル大会では本田圭佑という絶対的なエースがいたチームでした。
今、選手個々のレベルやプレーしているチームは、過去の日本代表と比較すると格段に上がっています。
その力をしっかりと引き出せれば、アジアで負けることはないと思います。
11月以降は、楽しいゲームで勝つ日本代表を見せてほしいですね!
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