2019年の6月は、サッカーファンには楽しみな大きな国際大会が2つあります。
女子のなでしこジャパンは、FIFA女子ワールドカップフランス2019で2011年以来の優勝を目指します。男子のサムライブルーは、招待チームとして南米選手権コパアメリカブラジル2019に出場します。
でも、男子チームはこの大会にベストメンバーで臨むことができません。代表チームのメンバーは、1月のアジア杯とはかなりちがった顔ぶれになるでしょう。
それはコパアメリカに出場する代表選手の選考には、2つの制約があるからです。
サッカー日本代表がコパアメリカでベストメンバーを組めない理由
サッカー日本代表チームのコパアメリカ出場選手の選考には
- 代表チームに選手の拘束力がない
- Jリーグが開催期間中である
という2つの制約があります。
サッカーの各国代表チームは国際サッカー連盟(FIFA)の規定により、1年に1大会だけ招集選手を所属クラブの意向にかかわらず拘束することができます。
ただし、対象になるのは国が所属する大陸のサッカー連盟主催か、FIFA主催の大会の予選と本大会に限られます。
コパアメリカは南米サッカー連盟主催の大会なので、アジアサッカー連盟に所属する日本の代表チームは、この大会で選手を拘束することはできません。
選手を招集するには、所属チームの理解と協力が必要になります。
しかし、ヨーロッパのサッカーシーズンは5月中に閉幕します。コパアメリカが開催される6月中旬から7月初旬は、ヨーロッパのクラブなら所属選手に十分な休養をとってもらいたい時期です。
コパアメリカに出場する選手は、シーズンオフに入ってもトレーニングを継続し、最長で7月7日の決勝まで試合が続きます。翌シーズンのトレーニングがはじまるのは7月中ですから、決勝までいく選手はほとんど休みがとれません。
日本代表チームが、本気のアルゼンチン、ブラジル、コロンビア、ウルグアイなどの強豪の中で決勝まで勝ち残る可能性は稀だと思いますが、出場する以上ゼロではありません。
1月に日本が準優勝したアジア杯では、日本代表の主力として参加した欧州クラブ所属の選手たちは、シーズンの最中にほぼ1ヶ月所属チームを離れています。招集選手の多くは、代表チームが拘束力を使ったでしょう。
大会中に怪我を悪化させて戻った日本のエース、大迫勇也選手が所属するヴェルダー・ブレーメンは、今後の日本代表の活動に大迫選手を参加させないと表明しました。ブレーメンが姿勢を変えなければ、今年は大迫選手を代表に招集できないことになります。
9月からは2022年のカタールW杯予選がはじまるので、この影響は小さくはありません。最悪、アジア杯に招集した欧州クラブ所属の主力選手を、誰も使えないことになってしまいます。
大迫選手のように怪我が絡んでいなくても、選手を休ませたいクラブは、コパアメリカに所属選手を出したくないはずです。W杯予選で選手を招集したい日本代表チームは、クラブの意向を尊重せざるをえないでしょう。
開催中のJリーグについて、代表チームは選手選考が各クラブの戦力バランスを変えないように気をつかうと思います。
代表クラスの選手は、Jリーグのチームでは主力中の主力ですから、シーズン中に最長1ヶ月もの離脱となると戦力ダウンは必至です。
招集される選手が特定のクラブに集中すると、順位の低下を懸念してクラブが招集に応じない可能性もあるので、選考が順位に影響すると思われないような人選をする必要があるのです。
だから、川崎や鹿島のように何人もの代表候補がいるチームからも、コパアメリカに呼べるのはひとりだけになるのではないでしょうか。下位に低迷するガンバ大阪のGK東口順昭選手やベガルタ仙台のGKシュミット・ダニエル選手も、呼びにくいところです。
ということで、コパアメリカに出場する日本代表チームは、何の制約もないときに森保一監督が選びたいメンバーとはちがうはずです。
招集されるのは、主にアジア杯に出場しなかった欧州クラブ所属の選手と、各クラブから1名以内といった何らかの制限付きで選考されるJリーグの選手になると思います。
コパアメリカのメンバー予想
森保監督は選手選考に制約がある中でも、コパアメリカは本気の南米強豪チームと対戦ができる貴重な機会として、フル代表で臨むことを明らかにしています。
東京五輪代表監督も兼務する森保監督は、世代間融合を代表チームのテーマに掲げています。コパアメリカはメンバー選考に制約があるため、かえって絶好の世代間融合の実験場になるかもしれません。
その意味で、森保監督は若手の有望株を多く起用するのではないでしょうか。
1月のアジア杯でも、ロシアW杯からかなりのメンバーが入れ替わりましたが、コパアメリカではそこからさらにフレッシュな顔ぶれになるでしょう。
前章であげた選考の基準、アジア杯に出場しなかった海外クラブの選手と、Jリーグで1チーム1名以内という条件で、招集選手を予想しました。
メンバー予想()内は所属チーム
GK
権田修一(ポルティモネンセ)、中村航輔(柏レイソル)、川島永嗣(ストラスブール)
DF
安西幸輝(鹿島アントラーズ)、西大悟(ヴィッセル神戸)、昌子源(ツールーズ)、植田直通(セルクルブルージュ)、板倉滉(フローニンゲン)、立田悠悟(清水エスパルズ)、杉岡大輝(湘南ベルマーレ)、山中亮輔(浦和レッズ)
MF
守田英正(川崎フロンターレ)、小林祐希(ヘーレンフェーン)、中島翔哉(アルドハイル)、橋本拳人(FC東京)、香川真司(ベシクタシュ)、和泉竜司(名古屋グランパス)、松本泰志(サンフレッチェ広島)、三好康児(横浜Fマリノス)
FW
鎌田大地(シントトロイデン)、浅野琢磨(ハノーファー)、藤本憲明(大分トリニータ)
今の代表チームの一番の課題は、大迫選手に代わるセンターフォワードです。
期待したいのは、29歳でJ1に初めて出場した藤本選手ですね。Jリーグで見せる抜群の得点感覚が、南米の強豪相手に通じるのかどうか見てみたいですね。
東京五輪世代の板倉、立田、杉岡、松本、三好も楽しみです。直前にU-22で参加するトゥーロン国際大会があるので、そちらに招集されてしまうかもしれないのですが、代表でポジションを確立しつつある冨安健洋(シントトロイデン)や堂安律(フローニンゲン)に並ぶ選手が、この中から出てくるかもしれません。
Jリーグから1チーム1名という条件がなければ、広島の渡大生、川崎の大島僚太、知念慶、鹿島の伊藤翔、三竿健斗もメンバーに入れたい選手でした。
FC東京の17歳久保健英も実力に遜色はないですが、若手育成に定評のある森保監督はまだフル代表には呼ばないだろうと思います。
アジア杯メンバーがサッカー日本代表の中核
準優勝した1月のアジア杯のメンバーは、以下のとおりです。
()内は現所属チーム
GK
東口順昭(ガンバ大阪)、権田修一(ポルティモネンセ)、シュミットダニエル(ベガルタ仙台)
DF
長友佑都(ガラタサライ)、槙野智章(浦和レッズ)、吉田麻也(サウザンプトン)、佐々木翔(サンフレッチェ広島)、酒井宏樹(マルセイユ)、室屋成(FC東京)、三浦弦太(ガンバ大阪)、冨安健洋(シントトロイデン)
MF
原口元気(ハノーファー)、柴崎岳(ヘタフェ)、遠藤航(シントトロイデン)、伊東純也(ヘンク)、乾貴士(アラベス)、南野拓実(ザルツブルグ)、塩谷司(アルアイン)、堂安律(フローニンゲン)
FW
大迫勇也(ブレーメン)、武藤嘉紀(ニューカッスル)、北川航也(清水エスパルズ)
森保監督が1月時点でベストと考えていた23名です。
アジア杯のメンバーに、怪我で招集できなかった中島翔哉(アルドハイル)、浅野琢磨(ハノーファー)、青山敏弘(サンフレッチェ広島)、守田英正(川崎フロンターレ)と海外移籍したばかりで配慮したと思われる昌子源(トゥールーズ)を加えた28名は、コンディションがよければ代表23名の最右翼候補でしょう。
昨年のロシアW杯が終わって森保ジャパンになってから、代表チームの顔ぶれが半分くらい変わりました。9年間キャプテンを務めた長谷部が代表を引退し、本田、岡崎が呼ばれなくなりました。森保監督は、大胆に若手を登用をするタイプのようです。
今のところ世代交代も含めて、割と新チームへの移行はうまくいっているようですが、コパアメリカではここから更にメンバーが入れ替わります。
コパアメリカの代表メンバーが制約の中で選考されることは、選ばれた選手たちもわかっています。自分たちは1軍ではない、という自覚があるわけです。
彼らは南米強豪チームと対戦をしながら、気持ちとしてはアジア杯準優勝メンバーに戦いを挑むことになると思います。
この挑戦者の意識がうまく作用すると、面白いことになるのではないかと思います。森保監督には、挑戦者魂を引き出すような熱い選手起用を期待します。
9月からのW杯予選に臨む代表チームが、アジア杯から大幅に入れ替えになるほどの、勢いのある試合を観たいですね!
※ 残念ながらコパアメリカはテレビ放送されないことになってしまいました。でも、日本にいても観ることはできます。詳しくはコチラの記事に書きましたので、興味がある方は御覧ください。
関連記事>>>コパアメリカ2019(南米選手権ブラジル大会)のテレビ放送予定について
まとめ
コパ・アメリカブラジル2019は6月14日開幕です。
日本代表の試合は、予選リーグが6月17日のチリ戦、20日のウルグアイ戦、24日のエクアドル戦。勝ち上がっていくと決勝は7月7日です。
女子のワールドカップも6月7日に開幕して、決勝は7月7日です。完全に同時並行!
眠れない日々になりそうですwww
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