今週になって、11月7日の朝日新聞や8日のテレビ朝日系のニュースで、インフルエンザワクチンが不足していると報じられていました。
ニュースをみるとけっこう深刻な印象を受けました。実際のところはどうなのか、2017年のインフルエンザの流行状況や予防も含めてまとめました。
インフルエンザワクチンが不足している!?
2017年も例年どおり、10月に入ってインフルエンザの予防接種がはじまっています。
今年は予防接種のウィルス株を見直した影響で、ワクチンの製造がずれ込んで、当初からワクチンが不足していると報じられていました。たとえば10月6日の日本経済新聞では、ワクチンが2016年に出荷された2,642万本に対して、256万本不足すると見込まれています。
厚生労働省は6日、今年度のインフルエンザワクチンの製造量が2528万本で、昨年度の使用量2642万本を下回る見通しだと明らかにした。ワクチンに使うウイルス株を選び直した影響で、過去5年間で最も少ない。対策として「1回または2回」としている13歳以上の任意接種について、原則1回接種とするよう周知していく。
(日本経済新聞2017年10月6日)
引用元はこちらです>>>インフルワクチン、過去5年で最少に 厚労省「1回接種」推奨
そのため、厚生労働省はワクチンができるだけ多くの人に行き渡るように、13歳以上は予防注射を1回接種にするよう、全国の医師会を通じて周知しています。
今週あらためてワクチン不足が報じられました。
インフルエンザワクチンの供給が例年より遅れており、各地の医療機関でワクチンの不足が生じている。東京保険医協会の調査では6割以上の医師が「不足」と回答した。一部の自治体では、高齢者対象のワクチン費用の公費助成期間を延長する動きもある。
(朝日新聞デジタル2017年11月7日)
引用元はこちらです>>>インフルエンザワクチン、医師6割「不足」 供給遅れる
そこで厚労省のウェブサイトでインフルエンザ情報を検索してみると、11月6日付で「季節性インフルエンザワクチンの定期の予防接種における接種時期等について」という文書が出ていました。
ソースはこちらです。
↓
厚生労働省健康局健康課 事務連絡 平成29年11月6日
書かれている内容をまとめると
- ワクチンの製造見込みはほぼ昨年並の2,634万本程度になる
- 出荷が例年より遅れていて、医療機関にワクチンが届くのは年末か来年1月までかかる
ということでした。
この文書を素直に読むと「出荷は遅れているけれど、年末か来年1月には必要な数のワクチンは確保できる」ということになる、と思います。
朝日系のニュースでは、不足することだけが報じられている印象でした。意図的にやっているとは思いませんが、ちょっと言葉足らずではないかと思いました。
実際にワクチンはあるところにはあります。どこに?と気になる方は、こちらの記事もお読み下さい。
関連記事>>>インフルエンザ予防接種できる病院 ワクチン足りない?供給量は?
ということで、現状ではワクチンが不足していますが、年末か来年の年初には不足が解消されることになりそうです。
なお、インフルエンザワクチンの効果についてはこちらの記事で詳しく書いているので、興味の有る方はぜひお読みください。
関連記事>>>インフルエンザワクチン効果ある?副作用は?水銀入りってどうなの?
インフルエンザ 流行状況
徐々にワクチン不足は解消されていく見込みですが、インフルエンザはそろそろ流行り始めているようです。
インフルエンザの流行状況は、都道府県毎に設置されている「感染症情報センター」が、毎週各地域の状況をまとめて公表しています。
たとえば、東京都の感染症情報センターの最新情報をみると、10月29日までの患者発生状況が報告されています。
東京都内419ヶ所の医療機関(インフルエンザ定点)でインフルエンザ患者数を追っている定点観測では、患者数が142人でした。3つの保健所管内で、定点あたりの患者数が1名を超える流行の兆しを見せている、ということです。
くわしい情報は東京都感染症情報センターのウェブサイトでご覧下さい。
↓
東京都感染症情報センター
今の時点では、いつもより早いとも遅いともいわれていないようですが、予防接種のスケジュールが後ろにずれ込んでいるので、流行が広がる可能性はあると思っていたほうがいいかもしれません。
インフルエンザの流行は、南半球の状況からある程度予想がつくそうです。向こうとこちらでは夏冬が逆になるため、オーストラリアの冬に流行ったインフルエンザが、半年後に日本で流行る傾向があるからです。
オーストラリアでは今年8月の時点で、インフルエンザが猛威をふるっていました。
政府によると、患者数が2016年比で2.5倍だったということです。9月末までには400人以上の患者さんが亡くなっていて、これは前年の6倍を超える数です。
オーストラリアで流行したのは、香港A型の一種で「H3N2亜型」というものです。このタイプは2017年の予防接種のウィルス種に入っていますが、オーストラリアでは5~9歳、80歳以上の高齢者に感染者が多かったということですから、日本でも注意が必要です。
インフルエンザの予防
オーストラリアでも予防接種は、もちろん実施されています。それでも猛威をふるった2017年のインフルエンザは、現地では「殺人インフルエンザ」と呼ばれているそうです。
だから、今年のインフルエンザはかなり警戒をする必要があります。ワクチンが行き渡るのが遅れることもあるので、予防接種以外の予防もしっかりやっておきたいですね。
とはいえ特別な予防法があるわけではなく、手洗いうがいを励行して、できるだけ人混みの中に行かないように、出かけるときはマスクをする、といった基本的なことをしっかり真面目にやるしかありません。
東京都では、お子さんがしっかり手洗いをできるようにと、ガチャピンとムックの手洗い動画を公開しています。
小さな子供さんが喜んで手を洗ってくれるように、という想いでつくったものだと思いますが、動画を見てみたら、大人でもこれほどきちんと手洗いしている人はなかなかいないのではないか、と思いました。
かなり丁寧に洗わないといけないのですね。参考になります!
まとめ
インフルエンザワクチンは遅れがちではありますが、最終的には必要な量が確保されるようです。それでもオーストラリアの流行状況をみると、この冬のインフルエンザはかなり手強い感じです。
予防接種以外のインフルエンザ予防も怠りなくやって、家族みんなで元気に冬を越せるようにしたいですね!
ご家族に妊婦さんや赤ちゃんがいらっしゃる方は、こちらの記事も参考にしていただけると思います。ぜひお読み下さい。
関連記事>>>
インフルエンザの予防接種を妊婦は受けられる?副作用や自閉症のこと
インフルエンザの予防接種 赤ちゃんへの効果は?授乳中だとうつる?
コメント