インフルエンザワクチン効果ある?副作用は?水銀入りってどうなの?

まわりの人の中に、インフルエンザワクチンの予防接種をしないのに全然罹らない人がいたり、予防接種しても罹ってしまう人はいませんか?

実際にそういう人がいるのをみると、インフルエンザワクチンって本当に効いているのか、疑問を持つ人もいるのではないでしょうか?

そんな人のために、インフルエンザワクチンの効果についてまとめてみました。ぜひ参考にしてくださいね。

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インフルエンザワクチンの効果は本当にあるの?

2015年8月30日の毎日新聞に「インフルワクチン:乳児・中学生に予防効果なし 慶応大など、4727人調査」という記事が出ました。

見出しだけ読むと、ワクチンは効かないのね、と思いますよね?

記事は、慶応大学医学部の研究チームが主に関東にある22の医療機関で、インフルエンザを疑って受診した6ヵ月から15歳までの子どもを調査して、インフルエンザワクチンの効果を検討した論文について、書いています。

この論文は8月28日に、アメリカの科学誌「プロスワン」に掲載されました。

Effectiveness of Trivalent Inactivated Influenza Vaccine in Children Estimated by a Test-Negative Case-Control Design Study Based on Influenza Rapid Diagnostic Test Results

論文ではインフルエンザのウィルス別、年齢別に効果を検証しているのですが、6ヶ月から1歳未満と13歳から15歳までの年齢層では、統計的に信頼できるデータ数が揃わなかったと書いてあり、効果の有無については結論を保留しています。

これが新聞の見出しでは「インフルワクチン:乳児・中学生に予防効果なし」になりました。明らかな誤報です。

他の年齢層でみると、インフルエンザA型の効果は1-2歳で72%、3-5歳で73%、6-12歳で58%。A型の中でも2009年に世界で大流行したH1N1型では1-2歳で67%、3-5歳で73%、6-12歳で58%です。B型は1-2歳で41%、3-5歳で44%、6-12歳で30%です。

A型にくらべてB型の成績は劣るのですが、いずれもこの年齢層では効果があるという結論でした。

ちなみに「効果が何%」という言葉は、インフルエンザワクチンを受けた人のたとえば70%はインフルエンザに罹らない、という意味ではありません。予防接種を受けずにインフルエンザに罹った人が、もし予防接種していたら70%は罹らないで済んだのに、というのが正しい意味なんですね。

だから予防接種をしたからといって、絶対にインフルエンザに罹りませんとはいえないのです。でも、ワクチンを打った方がインフルエンザに罹る可能性は減らせますよということですね。

慶応大学の論文は子どもを対象にした調査ですが、もっと広い年齢層の調査が長年にわたって世界中で行われていて、インフルエンザワクチンが発症や重症化を抑える効果があることは認められています。

インフルエンザワクチンが効かないという人たちがよく引用する研究に「前橋スタディ」とか「前橋レポート」と呼ばれるものがあります。

1979年、1980年の2シーズンで集団予防接種を実施しなかった前橋市、安中市の小学生と、予防接種を実施した高崎市、桐生市、伊勢崎市の小学生のインフルエンザ罹患状況を調査したものです。前橋市の医師会が調査をまとめて1987年に発表されています。

前橋医師会の結論は、予防接種をしてもしなくてもインフルエンザ罹患率に差はなかった、というものでした。ただ、前橋レポートのインフルエンザ判定は「37度以上の発熱があって連続2日以上欠席した」か「発熱は不明だが3日以上欠席した」児童は、インフルエンザ罹患者に数えるという、かなりおおざっぱなものでした。

当時の技術水準ではいたしかたなかった、という見方もありますけれど、データの信頼性に欠ける、という批判はされています。

ただ、同じ調査結果をみて、このデータはインフルエンザワクチンの効果を明らかに示している、と考える人も多くいます。また前橋医師会のデータ分析では「効果なし」の主張に反する安中市のデータを除いて集計するなど、恣意的な解釈があると指摘されています。

前橋レポートほどの大規模な調査はこれ以降行われていませんが、インフルエンザウィルスの遺伝子をチェックすることで陽性・陰性の判定が正確にできるようになった2000年以降、世界各国で行われている調査ではインフルエンザワクチンの有効性を裏付ける結果が多く報告されています。

効果の水準は年によって変動があります。これは年によって流行するウィルスのタイプが異なるからです。ワクチンは、世界保健機構(WHO)が毎年流行るタイプのウィルスを推定して、その予想にあわせて製造します。でも実際にフタを開けてみたら、違うタイプが流行ることもあるので、その年はワクチンの効果は低くなってしまいます。逆に予想通りのタイプが出てくれば、ワクチンの効果はかなり高まります。

ちなみに2017-2018年は以下の4タイプに対応したワクチンが製造されます。
A型株
A/シンガポール/GP1908/2015 (IVR-180) (H1N1)pdm09
A/香港/4801/2014 (X-263) (H3N2)
B型株
B/プーケット/3073/2013 (山形系統)
B/テキサス/2/2013 (ビクトリア系統)

なお、2017-2018年のインフルエンザと予防接種については、こちらの記事で詳しく書いていますので、ぜひお読みください。

関連記事>>>インフルエンザワクチンが不足している!?2017年の流行状況と予防

日本では毎年、推定で1,000万人ぐらいの人がインフルエンザに罹ります。逆に9,000万人以上の人は、インフルエンザにはなっていません。

毎年の流行といっても、10人に1人しかインフルエンザにはならない計算で、予防接種をしなくてもインフルエンザに罹らない人はたくさんいます。でも、罹った人だけをみれば、予防接種をしていない人の方がずっと多いのです。

インフルエンザワクチンに副作用はある?

インフルエンザワクチンは、体内で増殖しないように処理したインフルエンザウィルスの成分を体内に入れて、あらかじめウィルスと闘う抗体を体に準備させておくことものです。

抗体ができていると、実際にウィルスが体に入ったときに免疫機能が働いて、抗体がウィルスを攻撃して発症するのを防ぐことができます。

ワクチンを体の中に入れると、抗体をつくるための反応が体に出ることがあります。で、抗体をつくるため以外にも体に反応が出てくる場合を、「副反応」といいます。薬を使ったときの「副作用」と同じような意味になりますね。

予防接種のときに同意書に署名をしますけれど、サインをする場合は、副反応の可能性があることを理解したうえで、予防接種を希望します、ということを意味しています。

お医者さんからも説明があると思いますが、副反応には以下のようなものがあるとされています。

発熱、悪寒、頭痛、嘔吐、下痢、倦怠感、めまい、リンパ節の腫れなど。

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予防接種を受けると5-10%の人には、こうした症状が現れるとされています。たいていは2-3日すれば、症状はおさまります。

まれに重篤な反応を起こす人がいます。アレルギーのひどい状態である「アナフィラキシー」、中枢神経が炎症をおこす「急性散在性脳髄膜炎」、末梢神経が短時間で麻痺する「ギランバレー症候群」のほか、肝機能障害や喘息発作を起こすひともいます。

こういう重たい反応を起こすことをさけるため、発熱している人、予防接種や薬が原因でアナフィラキシーを起こしたことがある人は、予防接種は受けられません。

心臓、腎臓、肝臓、血液の持病がある人(基礎疾患のある人)、妊娠している人、気管支喘息のある人は、インフルエンザが重症化する可能性が高い人です。厚生労働省もこうした人には特に予防接種を推奨していますが、予防接種を受ける医療機関が主治医の所属先ではないときは、事前にお話をしておきましょう。

風邪の症状がある人、本人や近親者が免疫異常を指摘されたことがある人、鶏卵、鶏肉、薬で皮膚の発疹や体の異常を感じたことがある人も、きちんとお話をしておきましょう。

ちなみに、最近の予防接種は卵アレルギーがある人でも受けられることがあるようです。ワクチンに含まれるのは、お菓子の卵ボーロ1個分程度のタンパク質だそうです。

インフルエンザワクチンに水銀が入っているって?

インフルエンザワクチンには、防腐剤として水銀化合物が含まれているものがあります。チメロサールという成分です。

水銀中毒というと水俣病を思い出すでしょうか?

水俣病の原因となった水銀はメチル水銀化合物というもので、ワクチンに含まれているチメロサールとはまったくちがう物質だ、といわれています。チメロサールはエチル水銀で体に蓄積されず短時間で排出されるので、危険ではないということです。

ただ、かつてはチメロサールが自閉症の原因ではないか、と疑われたことがありました。

1994年に米国で、当時増加傾向にあって問題視されていた自閉症児とチメロサールの使用が関係しているという仮説が論文で発表されて、ワクチンの水銀問題が注目を集めることになりました。

このときの米国医学界の対応は、チメロサールと自閉症の因果関係は不明だけれど、可能性があるので、特に乳幼児にはできるだけチメロサール含有ワクチンを使わないようにつとめる、というものでした。世界保健機構(WHO)もこれを支持する声明を発表し、欧州の医学界でも同様の動きとなったことで、チメロサールフリーのワクチンへの切り替えという流れが、この論文をきっかけにはじまっています。

その後、チメロサールと自閉症との関係が各方面で検証され、2004年には米国科学アカデミーの医学協議会が

「チメロサールを含むワクチンの接種を受けることと自閉症との間の因果関係については、否認することが根拠によって支持される。」

と検証の結果を公表しました。医学界では、米国科学アカデミーの発表によって、チメロサールと自閉症の因果関係は否定されました。

それでも、チメロサールフリーのインフルエンザワクチンは、これを希望する人が少なくないので現在でも使用されています。ただし、これだけだと必要なワクチンが確保できないため、また製造コストがかかるので予防接種の値段があがってしまうこともあって、従来のチメロサール含有ワクチンもふつうに使われています。

2016年は熊本地震でワクチンの製造工場が被害を受けて、チメロサールフリーのワクチンの製造が間に合わず、供給できなくなってしまいました。これを受けて日本産科婦人科学会が会員の医師にあてて「お知らせ」を出して、ウェブサイトでも公表をしています。

この文書の主旨は、日本産科婦人科学会がチメロサール含有ワクチンの接種を容認するものでした。

チメロサールフリー製剤の生産中止に伴う今シーズンのインフルエンザワクチン接種について

チメロサール含有であっても、ワクチンによるインフルエンザ予防効果を上回るリスクはないと判断しています。

害はないとしても、水銀と聞くとやっぱりちょっと。。。と思うのはおかしくはありません。できれはチメロサールフリーのワクチンを使って欲しいですよね。でも、それを理由に予防接種を断念するほどのことではないですよ、というのが日本産科婦人科学会の見解になっています。

水銀といえば、チメロサールよりも魚介類の方を心配しなければならないかもしれません。海には水銀が存在していて、食物連鎖の上位にある魚になると体の中にけっこうな水銀が蓄えられているんですね。ワクチンに含まれるチメロサールよりも、魚を食べて摂ってしまう水銀の方が量は多いようですよ。

それで、ふつうに食べている分には健康被害は起こらないのですが、妊婦には一部の魚介類を食べすぎないように、と厚生労働省から注意喚起がされています。

妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて(Q&A)平成17年11月2日

対象の魚介類は食べないほうがいいというものではなく、ほどほどにね、という感じです。風評被害のリスクを意識しているのでしょう。文章もかなり気を使って書いているようです。

インフルエンザワクチンには、チメロサールというエチル水銀化合物が防腐剤として使われることがありますが、健康被害につながるものとは考えられていません。ただし、希望すればチメロサールフリーのワクチンを使ってくれるところもあるので、医療機関に相談して下さいね。

まとめ

インフルエンザワクチンの効果について調べてみました。全体としては、効果が期待できるという内容になっています。個人的には、インフルエンザワクチンの効果を否定する研究が、調べていいても2000年代以降には見当たらないことが、こうした内容になる大きな理由です。

インフルエンザの予防接種は任意ですので、受けるも受けないも自由です。この記事を参考にしていただけるとうれしいですw

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