お正月飾りの鏡餅には神様が宿るといわれ、お正月がおわって鏡餅をいただく「鏡開き」は神様の御利益に預かる縁起担ぎでした。
ここでは鏡餅を飾ることにどんな意味があるのか、固くなってしまった鏡餅の食べ方にはどんなものがあるのかをみていきましょう。
鏡餅はいつまで飾るの?
鏡餅は穀物神の年神様にお供えする正月飾りです。
年神様は暮れの12月28日に天から降りてきて、1月7日の松の内までいらっしゃるとされています。滞在中に宿る神様の居場所が鏡餅です。そのため、鏡餅は1月7日までは神棚に飾っておくものとされています。
鏡開きは、神様が天に帰ったあとにお住いだった餅をいただいて五穀豊穣を願う「縁起担ぎ」の儀式です。食べてしまったら神様の居場所がなくなってしまいますから、年神様がおられるうちは鏡餅をいただくことはできません。だから鏡開きは、神様がお帰りになった1月8日以降にするのがよいのです。
1月11日は1の並ぶゾロ目で縁起がいいとされて、商家ではこの日に新年の蔵開きの儀式をおこない、蔵開きにあわせて鏡開きをするのが慣わしでした。今に伝わる鏡開きは、こうした商家の習慣が広まったもののようです。そこで、鏡開きは1月11日に行うのが一般的になっています。
鏡餅の食べ方はどうする?
商家の蔵開きは、主従とその家族がみんなそろっておこなう儀式で、そこで振る舞われた鍋料理が今のお雑煮だったようです。
でも昨今は、お正月にお雑煮は食べ飽きてしまって、松の内が明けてまたというのは家族からブーイングが上がるかもしれませんね。
鏡開きといっても、コンビニやスーパーなどで売っているパックの鏡餅だと、かなり日持ちがするので急いで食べることもありません。
自家製のお餅でつくった鏡餅や、和菓子屋さんなどのお店で手づくりした鏡餅だと、固くなってひびも入っていることでしょう。この時期にはそろそろなんとかしないといけませんね。
固くなった鏡餅は包丁を入れるのが難しいかもしれません。でも、神様に刃物はよろしくないということから、木槌や金槌などで砕いて小分けにするのがよいとされています。
おしるこなど汁物をつくるときは、砕いて小さくなった餅をそのままお鍋にいれれば食べられるようになります。お雑煮は当然として、大根をたっぷりいれたお味噌汁にお餅も合いますね。
地元の神社などでどんど焼きをしているところなら、そこで焼き餅にしてもらうのもお子さんには楽しいイベントです。
お子さんがいると大人気なのは、おかきやあられです。大人だって好きかもしれませんけれどw
あられやおかきをつくるには、砕いて小指の先大にしたお餅をさらに数日干して乾燥させます。
乾燥させたお餅は容器で保管しておいて、食べる分だけサッと油で揚げて、ザラメや塩、醤油などで味付けします。お子さんに一緒に味付けしたりすると楽しい思い出がつくれますね♪
日頃袋入りのおかきやあられはあっても、揚げたて出来たてのおかきやあられを食べられるのは、めずらしい経験になるご家庭が多いのではないでしょうか。
小分けにしたお餅を容器に入れて水に浸して蓋をしておくと、水餅になります。冷暗所において1日1回水を替えてあげると、二ヶ月くらいはもちます。
急いで柔らかいお餅にしたいときは、耐熱容器にお餅を入れて水に浸したら、レンジで1分程度加熱します。
お餅を柔らかくしておけば、きなこ餅にしたり、納豆や大根おろしと和えて食べることができますね。水餅にしておけば、ちょっと焼いて醤油をつけて海苔を巻いて食べても美味しいです。お餅の最強レシピ、磯辺巻きです。
餃子の皮にトマトソースを塗って、その上にお餅をおいてさらにとろけるチーズを乗せて、オープントースターでチーズに焼き目がつくくらいまで焼くと、美味しい酒の肴になります。大人向けのレシピです。
鏡餅にカビが生えていたらどうする?
もし鏡開きを1月11日にすると、鏡餅をつくってから2週間以上経ってしまうかもしれません。そうなると心配なのが、お餅につくカビです。
自家製や近所のお店で手づくりしてもらった鏡餅だと、保存料などは入れないでしょうからカビが生えやすくなっています。
ブルーチーズなどあえてカビを生やす食品もあるし、お餅に生えるカビも害がないとして、カビが生えているところを削って食べてしまう人も少なくないようですが、あまりいいことではありません。
カビがみえる部分は、胞子というカビの体の一部です。カビの根っこにあたる菌糸はお餅の内部に侵食して、どこまで蝕んでいるかは見てもわかりません。表面を削って胞子が見えなくなっても、カビは残っているのです。熱で死ぬとも限りません。
お餅につくカビは20種類以上あって、専門家でも有害か無害かは簡単に見分けがつかないそうです。食べてすぐに激烈な反応が出るほど毒性の強いものはないようですが、体に蓄積するタイプの毒もないとはいえず、すぐに影響は出ないというだけで安全といえるわけではありません。
だから、カビが生えてしまった鏡餅は、もったいなくても食べないほうがいいです。カビが生えていたら、それこそカビ臭くてあまり美味しくないようですし。
お正月のお餅を自宅で搗(つ)いていても、近所のお店から購入しているお宅でも、鏡餅だけは真空パックにしているメーカーさんのものにするとか、できれば何かしらカビないような対策をとって下さいね。
そうでなければ神様がまだいらっしゃるときでも、カビる前に食べてしまうとか。いずれにしても、お餅のカビは食べないようにすることが健康面からはおすすめです。
まとめ
固くなってしまった鏡餅をいただくのは一苦労、一手間が必要で面倒くさい作業かもしれませんね。
でも、そこに込められた昔の人の願いを知ると、またちがった一面がみえてくるのではないでしょうか。
今度のお正月は、メタボを気にしなければいけないほど豊かな食生活を享受していることを神様に感謝して、ありがたく鏡開きを迎えたいと思います。
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