喪中はがきの意味とは? いつ頃出す?出す相手の範囲は?

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喪中はがきは、親しい人を亡くした方から送られてきます。毎年年賀状のやり取りをしていれば、何人かはそういう方がいるでしょう。

でも、意外と喪中の本来の意味は理解されていません。はじめて親族が亡くなったときに、喪中にあたるのかどうか迷うこともあると思います。

でも喪中の本来の意味がわかると、喪中はがきをいつ頃出すのか、出す相手の範囲をどこまでにするのかが明確になります。

喪中はがきの意味とは?

喪中はがきの意味は「年賀状の欠礼」をお知らせする、ということです。

「大切な人を喪って悲しみの中にあり、とても新しい年を迎えるお祝いをする気持ちにならないので、年始のご挨拶を失礼させていただきます」というお断りをするのが、喪中はがきの趣旨です。当然、出す相手は年始のご挨拶を交わす人になります。

喪に服すことは、親しい人を喪った悲しみを癒やす時間が必要だということとあわせて、死は穢れ(けがれ)だと考えて、穢れが移らないように世を避けて家に篭もる、という意味合いがあります。

神道では50日、仏教では49日が喪に服す期間とされています。どちらも、その期間を過ぎれば日常に戻るものとされ、慶事を祝うことも禁忌ではありません。

実際、喪に服す期間を決めたものが何かあるわけではありません。近世で明確に決められていたのは、明治7年発令の太政官布告です。これは平安時代あたりの服忌令が連綿と引き継がれて立法化されたもののようです。

ただし太政官布告は、この期間は服喪しなければいけないというものではなく、最長でもこの日数を上限として職務に復帰しなさい、というルールでした。つまり、何日間喪に服さなければいけない、とするものではないのです。

平安時代に服忌令が定められたのは、近親者が亡くなったことを理由に出仕をしない者が続出したことが理由だったそうです。そのために、どこまでの範囲でどのくらいの期間まで服喪が許されるのか、という上限を定めたのです。これが現在に引き継がれて、慣例となっています。

このような背景を考えると、一般に二親等以内の親族、三親等以内の同居の親族が亡くなると「喪中」とされますが、そうしなければいけない、というものではないことがわかります。

むしろ「そうしてもいいよ」という基準だ、というべきでしょう。

ということで「喪中」かどうかを決めるのは、亡くなった人が誰かではなく、残された人がどう感じているか、にあります。

亡くなった人が誰であっても、お正月も故人を偲んで静かに過ごしたいと思うのならば「喪中」としてかまわないし、近しい親族が亡くなっても、すでに悲しみを乗り越えて新しい年を迎える気持ちになっているのなら「喪明け」としてもいいのです。

穢れを移さないという主旨で神道や仏教を基準とするなら、服喪すべき期間はせいぜい50日ということになります。

ということで、喪中はがきを出すかどうかは本人の気持ち次第ということになります。これが原則です。

喪中はがきはいつ頃出す?

年始の挨拶の欠礼を断る連絡、というのが喪中はがきを出す意味ですから、いつ頃出すかは自ずと決まってくるでしょう。相手が年賀状を書いてしまったあとでは意味がありませんから、遅くとも12月上旬には届くように発送するのがマナーといえます。

12月になってから親族が亡くなったときは、喪中はがきは出さず、年が明けて「寒中御見舞」として訃報と年賀状欠礼のお詫びを兼ねるのが一般的な対応です。

喪中はがきを出す相手の範囲は?

喪中はがきを出す相手の範囲は、ご不幸がなければ年賀状を出すはずの相手です。原則は、毎年年賀状を出している相手に、喪中はがきを出すことになります。

でも、亡くなった親族が誰かによっては、喪中はがきを送るかどうか迷うこともあるかもしれません。

例えば夫の祖母が亡くなった場合、夫の名前や夫婦連名で年賀状を出している相手に喪中はがきを出すのは、違和感はないでしょう。でも妻の友人知人にまで出すか、あるいはお子さんにも喪中はがきを出させるか、ということは、考えてしまうこともあるのではないでしょうか。

夫の祖母と同居していれば別ですが、別々に生活している場合は妻や子からすると、夫の祖母はかなり距離のある人になることも多いと思います。

夫が悲しみに暮れていて、その姿を見ている妻が夫の気持ちに寄り添って喪に服するという夫婦愛のカタチはあるでしょう。しかし、必ずしもそのような夫婦だけではありません。

妻の気持ちが「悲しみの余り新年のお祝いをする気になれない」わけではないことが多々あるでしょうし、そもそも夫だってそれほど悲しみが大きいかどうか。子どもにしてみれば、ほとんど会ったことも話したこともない、という人かもしれません。

カタチとしては「喪中」としてもおかしくありませんが、心の持ちようは「喪中」ではないわけです。

こういうケースで妻や子どもが例年通りに友人知人と年賀状を交換するのは、非常識な行いということにはならないでしょう。

もちろん夫婦で話し合いをしっかりして、両者納得の上ということが前提です。親族には年賀状は出さないほうがよさそうです。

どの範囲で喪中はがきを出すかは、本当の意味で喪に服したいと考えている人が、不幸がなければ年賀状を出したはずの相手まで(親族はのぞく)、とすればいいのではないでしょうか。

まとめ

喪に服するということは、残された人の気持ちから自ずと導かれる行為です。神道の50日、仏教で49日と呼ばれるもの以外に、喪に「服さないといけない」ルール、決まりはありません。

喪中はがきを出すかどうか、喪中はがきを出す時期や相手についても、喪に服すことの原点に立ち返れば、形骸化した儀礼や形式にとらわれず、決めることができるでしょう。

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