試合が終わったとき、アルゼンチンチームはまるで優勝でもしたような喜びようでした。
なでしこジャパンは、ワールドカップ初戦で勝ち点2を失いました。
なでしこジャパンのワールドカップ初戦 アルゼンチン戦は引き分け
アルゼンチンの女子サッカーは、常時W杯の優勝候補に数えられる男子チームとはとんでもない格差があるそうです。
遠征先の移動バスの中で車中泊させられるほどの厳しい環境の中で、大陸間プレーオフを勝ち上がってきたアルゼンチンチーム。国歌斉唱のとき、数人のアルゼンチン選手やベンチスタッフの目には涙がありました。
W杯後には新たに国内リーグがはじまるというアルゼンチンの選手が、このW杯開幕戦にかける思いはいかばかりだったでしょうか。
世界ランキング37位とかなり下位のアルゼンチンですが、ランキング7位のなでしこジャパンにとってはやっかいな対戦相手だったようです。
なでしこジャパンの先発は、直前の親善試合スペイン戦から2人入替えがありました。
GKは山下
CBがキャプテン熊谷と南。
SBの鮫島、清水は高倉ジャパンではほぼ不動のメンバーです。
ボランチには杉田と、スペイン戦の後半に投じられリズムをつくった三浦。
両サイドは長谷川に中島と、ここも不動です。
ツートップには横山と、スペイン戦で途中出場から得点した菅澤。
試合は前半の半ばあたりから、完全になでしこがボールを支配しましたが、アルゼンチンは引き分けなら上々という感じでベタ引きの試合展開となりました。
結局、なでしこジャパンもさしたるチャンスをつくれず、0‐0の引き分けに終わりました。
ベタ引きのアルゼンチンを攻略できず
テレビで見ている限り、なでしこジャパンはあまりにも無策だったようにみえました。
ボールをほぼ支配しているにもかかわらず、ゴールに迫るチャンスはつくれませんでした。
アルゼンチンの守備を崩した場面は、ほとんどなかったと思います。
得意のパス交換で相手の守備網を揺さぶりながら、穴が空くのを待ってタテパスをいれたりドリブルで仕掛けたりすれば、いずれ得点につながりそうでしたが、選手たちにはそういう感覚がなかったのでしょうか?
すでに前半から、攻め急いでミスを連発している感じでした。アルゼンチンがゴール前に築いた壁に向かって、ひたすらボールを蹴りこむような攻めばかり。
これでは調子が出ません。
まわりの選手を使わずに、無理にドリブルで仕掛けては何度もボールを失っていた横山は、後半早々に岩渕と交替しました。その岩渕も、コンディションがよくないためか、ミスが多くチャンスを演出することはできませんでした。
技術的には、もっとポジションチェンジしたりボールをまわして相手を揺さぶることができると思うのですが、なぜかみんなゴールへの最短距離しか見ていないようでした。
敗けたわけではないのですが、なんというか自滅した感じですね。
先発11人中8人が、W杯初出場の選手でした。やはりW杯の雰囲気に呑まれたのでしょうか?
初出場といっても、世代別では世界チャンピオンになった経験を持っている選手が多く、国際経験は豊富なんですけどね。
いずれにしても単調な攻めを繰り返して、強い思いをもってこの試合に臨んでいたであろうアルゼンチンの守備を破ることはできませんでした。
どこを改善すればいいか
なでしこの選手は、1対1のフィジカル勝負をしてしまうと、海外の選手にはほとんどかないません。
攻撃がうまくいくときは、前線がポジションチェンジをしながらパスを受けるときにフリーになってリズムを生みだしています。
しかしアルゼンチン戦をみていると、バカ正直に1対1を挑んでは「うまくいかない」を積み重ねて、自分でリズムを崩しているように見えました。
スペインとの親善試合でも、ボランチに三浦が入って杉田が最前線まで飛び出すようになってからリズムが出始めました。アルゼンチン戦の最大のチャンスも、杉田がペナルティエリアの中で右から清水が送ったクロスをスルーして生まれています。
次戦のスコットランド戦は、杉田がもっと前線で攻撃に絡んでいくと、よいカタチがつくれるようになるのではないでしょうか。
スコットランドは、すでに初戦で1敗しています。負ければ予選敗退となるので、アルゼンチンのようなベタ引きの専守防衛策はとらないでしょう。
なでしこにとっては失点リスクも高まりますが、相手も攻めに出てくるのでカウンター攻撃が発動しやすくなり、アルゼンチン戦よりもプレーしやすいと思います。
W杯の雰囲気に慣れた2戦目。ふだんのチカラは発揮しやすくなると思います。そこに期待したいですね。
まとめ
岩渕やスペイン戦で怪我をしたという籾木も、スコットランド戦までにはコンディションがあがってくるでしょう。
阪口も試合で使えるぐらいになっているかもしれません。
第2戦は、日本時間で6月14日(金)午後10時キックオフです。
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