きゅうりは他の食材の栄養素を壊すって本当でしょうか?
しかも栄養がないなんていわれています。
そんなにきゅうりってダメダメな野菜なのか?本当のところを調べてみました。
きゅうりは栄養素を壊す!?
高校生の娘が、学校できゅうりをサラダに入れると他の野菜の栄養を壊す、という話を聞いてきました。
情報源は生物の先生だそうです。
とはいえどう聞いてきたのか、何の栄養素をどう壊すのかという話は聞いていないらしく、イマイチ要領を得ません。でも長年生きてきて、きゅうりの入ったサラダも沢山食べてきましたが、そんな話ははじめて聞きました。
本当か~?
情報元が生物の先生というだけあって、本当かどうか気になったので、いろいろ調べてみました。
結論は、きゅうりは栄養素を壊す、は間違いのようです。
きゅうりにはアスコルビナーゼ(アスコルビン酸酸化酵素)という酵素が含まれていて、ビタミンCを酸化する作用があります。ビタミンCには還元型と酸化型がありますが、ビタミンCが酸化されると、その効果効能が失われると昔は考えられていたため、アスコルビナーゼはビタミンCを壊すと考えられていたそうです。
でも後年の研究で、酸化型ビタミンCもヒトの体内では還元型と同じようにビタミンCとして働くことが解明され、アスコルビナーゼがビタミンCを壊すと考えるのは間違いだとわかっています。
そのため1982年以降は、日本食品成分表でもビタミンCは酸化型と還元型の総量を表示しています。
参考文献
アスコルビン酸酸化酵素を働かないようにするためには、酢を使ったレシピにしたり、加熱したり、発酵させたり、塩で揉むのがいいそうです。きゅうりの食べ方には、そういう調理の仕方が多いですよね。
でも、そうしなくてもビタミンCはなくなりません。そこは安心していいと思います。
きゅうりに栄養がないといわれるのは本当か?
きゅうりには栄養がない、という話もあります。
たしかに95%は水分なので、栄養豊富というわけではありませんが、栄養がないわけではありません。だからこれも間違いです。
きゅうりにはβカロチン(ビタミンA)、カリウム、ビタミンC、ビタミンKそして食物繊維が含まれています。脂肪分解酵素のホスホリパーゼが含まれているため、きゅうりダイエットなるダイエット方法もあるそうです。
きゅうりをはじめとする旬の夏野菜は、熱中症予防にも役立ちます。こうも猛暑が続くと、むしろ食卓には欠かせない食材といえますね!
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ではなぜ、栄養がないなどという話になるのでしょう?
きゅうりは、ある記録でギネスブックに載っています。
「Least calorific fruit」
「最も熱量が少ない果実」ということです。100gあたり14kcalとなっています。
ちなみにfruitという英語は、野菜のうちの「果菜」にも使われます。果物だけではありません。
野菜には食用になる場所によって、果菜の他、根菜、葉菜、茎菜、花菜という種類があります。きゅうり以外では、カボチャ、ナス、トマト、ゴーヤ、ピーマンなどが果菜類です。
さて、きゅうりが最も少ないのは栄養ではなく熱量です。しかし、カロリーと栄養は日本語ではときどき同じ意味で使われる言葉なので、誰かが訳を間違えて「栄養」としてしまったのでしょうね。
これが広まって「世界一栄養の少ない野菜」という汚名を与えられてしまったようです。
そんなきゅうりの基礎知識です。
原産地はインド北部、ヒマラヤ山麓とされています。
日本には中国から伝わり、江戸時代頃までは「黄瓜」と呼ばれていました。きゅうりは熟すと黄色くなるので、そう呼ばれていたそうです。その後、中国名をそのままあてた「胡瓜」と表記されるようになっています。
緑色のきゅうりは、熟する前の若いうちに収穫されています。熟する前に採るのは、その方が美味しいからで、黄色くなったきゅうりはあまり見たことないかもしれません。
きゅうりの表面にはトゲトゲがあります。これはイボともいいますが、白いイボのきゅうりと黒いイボのきゅうりがあります。
白イボきゅうりの旬は夏、6月から9月が一番栄養豊富で美味しい季節です。夏きゅうりは品種改良されて、ハウス栽培で1年中栽培されているので、1年中食べることができます。生食用には、この品種があっています。
黒イボきゅうりは春きゅうりです。野性的な味わいで漬物向きです。黒イボきゅうりの品種には「半白」、「毛馬」、加賀伝統野菜のひとつにもなっている「加賀太」があります。「半白」、「毛馬」の旬は4月から6月。加賀太の旬は5月から8月です。
イボは果肉を保護するためのもので、イボが鋭く立っているものが新鮮です。ただ品種改良で、イボのない品種も出ています。
むかしのきゅうりは表面が粉をふいているように見えました。白っぽい粉は、きゅうり自体が乾燥から身を守るために生成する成分で「ブルーム」といいます。
ブルームは一見農薬が落ちていないように見え、消費者受けがよくなかったので、ブルームレスの品種が開発されました。
しかし、ブルームがなくなった分果皮が厚くなり果肉が柔らかくなって食味が落ちてしまったので、最近は歯ざわりがよくきゅうり本来のおいしさのある、ブルーム付のきゅうりが復権しています。
買ったきゅうりを長持ちさせるには、保存方法にちょっとした手間をかけるといいです。
表面の水分をしっかり拭き取り、新聞紙に包んで冷蔵庫に入れます。立てて置くと長持ちします。
さらに丁寧にやりたいときは、一本ずつキッチンペーパーに包んでビニール袋に入れます。
冷凍もできます。輪切りに薄くスライスしたきゅうりを塩揉みして水分をしぼり、ラップに包んで冷凍します。使う時には室温で解凍すればいいので、なますやポテトサラダなどに使えます。
きゅうりのレシピいろいろ
きゅうりは体を冷してくれるので、暑いときには体が欲する食材ともいえます。
きゅうりの生産量が多い宮崎では、青果市場のウェブサイトで一般の方から募ったオリジナルレシピを掲載しています。
参考サイト>>>宮崎県青果市場連合会「とれたてもぎたて九州みやざき」
宮崎ではきゅうりを使った冷や汁も、夏の暑さを乗り切るための郷土料理として人気があります。
豆腐を入れてもいいし、魚のすり身の替わりにサバ缶を使うと簡単で美味しい冷や汁がつくれます。
きゅうりを千切りにして豚バラ肉と炒めると美味しく食べられます。
ぬか漬けはきゅうりの定番ですが、きゅうりのカリウムやビタミンCの含有量が生食に比べると格段にアップするのでオススメです。ぬかに含まれるビタミンB1も摂ることができます。
ぬか床がないご家庭でも、ぬか漬け風の漬物がビールで簡単につくれます。
きゅうりのビール漬け
<材料>
きゅうり1kg(約10本)
塩、砂糖大さじ2
ビール100CC<作り方>
きゅうりを洗い、水気をふき取り丈夫なビニール袋にいれる。
塩、砂糖を振り入れ、ビールを流し入れて口をしっかりしばる。
冷蔵庫で1日から2日ほど置けば、おいしく食べられます。新鮮でみずみずしく、バリバリと歯ざわりもやわらかなぬか漬け風のお漬け物です。
岐阜県もきゅうり生産量が全国有数のところです。
まとめ
ひょんなキッカケから、きゅうりのことを調べてみました。
きゅうりは身近な食材ですが、その実力は不当に低く評価されているようです。
でも、調べていてなかなか信憑性のある情報源がなかったんですよね。
きゅうりの生産や流通に関わっている人は、もうちょっときゅうりのいいところを積極的にアピールしていきましょうよ!!
と思いました。
それにしても、娘の学校の生物の先生は大丈夫なんだろうかと、ちょっと心配です。。。
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