ドコモの子会社化でどうなる?携帯電話料金とか、NTTの株価とか

暮らし・生活の知恵

9月29日に、NTTがNTTドコモを完全子会社化する方針を発表しました。

この計画を実現するため、NTTはNTTドコモ株式のTOB(公開買付)を開始しました。1株3,900円で、公開買付期間は発表翌日の9月30日から11月16日までとしています。

ドコモの子会社化で携帯電話料金はどうなる?

ドコモの子会社化で「どうなる?」と気になるテーマは、まず携帯電話料金です。

今回のTOBで、携帯電話料金は大きく下がることが期待できるでしょうか?

個人的には「TOB即大幅引き下げ」ということにはならないような気がします。

しかし、スパッとわかりやすく価格が下がることはなくても、TOBとは関係なく政府のプレッシャーはジワジワ効いてくることになると思います。

菅政権の政策とドコモのTOBは関係ない

直前に就任した菅新総理が、目玉政策に携帯電話料金の引き下げを打ち出したところで、タイミングを図ったようにドコモ子会社化が発表されました。

パッと見では、菅政権の要請なり圧力があってのTOBという構図にもみえますが、NTT澤田社長の記者会見によれば、4月からドコモ子会社化を社内で検討しはじめ、6月にはドコモ側にも伝えていたそうです。

4月時点で安倍前総理退任の流れがあったとは思えないので、今回のTOBと菅総理の目玉政策に直接の関係はなさそうです。

子会社化を検討し始めた理由について、澤田社長はドコモの収入・利益がソフトバンクやKDDIの後塵を拝し「第3位」になってしまったことを挙げています。

つまりTOBの目的のひとつに、ドコモが携帯電話会社で№1に返り咲くことがあります。仮に安倍前総理が体調を崩さず総理が替わっていなかったとしても、TOBは実施されていたでしょう。

ドコモ子会社化の目的を達成するには

日本の携帯電話の普及率は、総務省の発表では人口の倍ぐらいになっています。個人用と会社支給の2台持ちとか、一人で何台も持っている人もいますけれど、けっこうな飽和状態です。

ドコモが携帯電話料金を引き下げて利益を増やすには、契約件数を大きく伸ばす必要があります。契約件数ではすでにトップにあるドコモが、さらに契約数を大幅に伸ばすのは簡単ではありません。

通信料金が安くなるとわかっていても、乗り換え手続きが煩雑だとか、わかりにくいという理由だけで携帯電話会社を変えないユーザーは山ほどいるからです。

もっともユーザーの腰が重いのは、契約数が一番多いドコモにとってはむしろ良い傾向といえます。もっとフレキシブルに携帯電話会社を変える人が多かったら、ドコモユーザーは今よりもっと少なくなっていたと思います。

さらにドコモが料金を引き下げるなら、当然ソフトバンクもauも対抗策を打ってくるでしょう。だからドコモが単純な価格競争を仕掛けるのは、NTTの完全子会社になって一般株主の意向を気にせずに経営できるとしても最悪手だと思います。

体力勝負で№1に返り咲いても、消耗戦の末に業界全体で利益がほとんど出ないビジネスにしてしまえば本末転倒です。

ドコモブランドの携帯を持ってもらうには、多くの場合他社からの乗り換えか、2台目、3台目の需要を取りこんでいかなければいけません。「ぜひドコモの携帯を持ちたい」と、ユーザーを刺激する何かが必要です。

自社サービスに人を惹きつける魅力を持たせられるか?

そこが問われている、ということだと思います。

ドコモの子会社化でNTTの株価はどうなる?

「携帯電話料金は4割下げられる」と考える人が総理になったインパクトは、強烈でした。

菅政権の発足前後で、NTTや携帯各社の株価は大きく下げています。

半年や1年で料金が4割下げられるとは思えませんが、株価の反応は、投資家がこのビジネス全体が儲かりにくくなると受け止めていることを示しています。

今後のNTTの株価は、今と同じようにせいぜい1株当たりの純資産価格の辺りでうろうろし続けることになりそうです。

携帯電話は飽和市場

契約台数が人口の2倍もある日本の携帯電話市場は、今の時点で飽和状態です。通信の質はどんどん良くなっていきますが、それに見合うように価格が上げられるビジネスでありません。

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その中でシェアが一番のドコモは、大株主でもある政府の意向を汲んで利用料金を下げながら、利益を伸ばし業界№1に返り咲くという難しいミッションに直面しています。

政府と競合他社の二正面作戦を強いられる中、体力にまかせて大胆な価格競争を仕掛けると、自分で自分の首を絞めることになりかねません。

この事情は、ソフトバンクもKDDIも似たようなものです。

すでにある程度のユーザー数を確保しているので、価格引き下げはいずれ既存のお客様からの収入も減らすことになるからです。

低価格戦略で事業を伸ばせる可能性が高いのは、新規参入をしたばかりで、まだほとんどユーザーを抱えていない楽天モバイルだけです。

楽天モバイルは、5Gスマホでキャリア大手3社の半額レベルのサービスを打ち出して、価格競争で優位に立とうとしています。

楽天の仕掛けによって、個人向けの5G通信サービスが薄利なビジネスになることは決まってしまいました。今後、5Gの通信エリアが拡大して接続状況がよくなっても、各社が高い価格でサービスを提供するのは難しいでしょう。

ネットワークの拡充のため今後も巨額の投資が必要な新サービスが、スタートから低価格競争を強いられるのが、携帯大手3社の現状です。

NTTはGAFAに対抗できる?

この制約だらけの経営環境の中で、成長を求められる澤田社長は「GAFA(Google、amazon、Facebook、Apple)に対抗していきたい」といっています。

実際、そのためにトヨタと連携して近未来都市「スマートシティ」の開発に取り組んでいます。

しかし、NTTとGAFA各社双方の企業文化を知る人たちからは「GAFAに対抗なんてムリ」というツッコミが入っています。意思決定のスピードや、自由闊達にアイディアを試せる企業文化が、もともと電電公社で「お上」だったNTTには決定的に欠けている、ということなんですね。

とはいえ、グループ利益の半分以上を稼ぐドコモが単なる携帯電話会社のままでは、大株主でもある政府の値下げ圧力と他社との競合の中でゆっくり沈んでいくだけです。

株価は今みたいに「1株の純資産価格程度」が定位置ということになってきます。

NTTは今回のTOBで、4兆3千億円ものお金を銀行から借金します。それでも財務はしっかりしているし、通信法の規定で政府の持株割合がこれ以上下げられないレベルなので、公募増資をして借金を返すようなこともしないでしょう。

倒産リスクはまずないと考えていいので、純資産価格並みの今の株価なら持っていて毎年の配当をもらっていればいいと思います。銀行預金よりもよっぽど高い利回りになります。

ただ、企業の成長とともに株価が上がっていくことを期待するのなら、現状のNTT株はまったく面白味のない投資先です。

NTTが株式市場のファーストインプレッションや企業文化を知る人のツッコミを覆すには、「GAFAに対抗」できる何かを生み出せるという期待感が必要です。

それはトヨタと連携する「スマートシティ」構想でもいいし、宇宙開発ビジネスみたいな分野でもいいと思います。

夢みたいな話が現実味をもって語れるようになってきたら、NTTは成長企業として株価の値上がりを期待したくなる投資先になってきます。

今回のTOBを機に、そうした方向性が出てくるといいですね!

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