JR東日本の終電繰り上げはいつから? どの路線で実施されるのか

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9月3日にJR東日本から、春のダイヤ改正に合わせて首都圏路線の終電の時刻を、最大30分程度繰り上げるとの発表がありました。

この記事では、いつからどの路線でどのくらい終電時刻が早まるのかをフォローしています。

最新情報も掲載していきますので、ぜひお読み下さい。

JR東日本の終電繰り上げはいつから

JR東日本は2021年春のダイヤ改正で、終電の時刻を繰り上げることを決めました。

実際に新ダイヤで運行が始まるのは、2021年3月中旬ごろで、首都圏の各路線では最大で30分ほど、今より終電が早くなります。

終電の時間が変わるのは、およそ50年ぶりのことだそうです。

どの路線でどのくらい早くなる

終電繰り上げの対象は「東京100km圏の各路線」です。

路線毎にどの程度終電を早めるかは、10月に公表されます。

———– ここから追記 ———–

10月21日(水)に終電を繰り上げる路線が発表されました。

対象となるのは以下の17路線です。

  • 山手線
  • 中央線
  • 総武線
  • 東海道線
  • 横須賀線
  • 京浜東北線
  • 根岸線
  • 埼京線
  • 川越線
  • 京葉線
  • 常磐線
  • 武蔵野線
  • 南武線
  • 青梅線
  • 横浜線
  • 高崎線
  • 宇都宮線

繰り上げの幅は山手線の内回り・外回りで20分程度、最大幅になるのは青梅線の立川駅発と高崎線の上野駅発で37分程度となります。

実施日と詳細なダイヤは12月に公表される予定です。

———– ここまで追記 ———–

同様の動きは他にもあり、JR西日本は関西エリアの12路線で終電を早めると発表しました。

JR九州も、福岡県内の都市部で運行本数を減らす検討をはじめています。

終電繰り上げを実施する理由

JR東日本は終電繰り上げの理由をいくつかあげています。

  • 線路の保守点検に携わる現場作業員の労働環境の改善
  • 今後10年程度、作業員の減少が見込まれること
  • メンテナンスを効率化する大型機械導入のための時間確保の必要性
  • 新型コロナ感染症の影響による深夜時間帯の利用者の減少

今回のダイヤ改正で終電の繰り上げに踏み切った最大の理由は、やはり新型コロナの影響で利用者が大きく減少したことでしょう。

JR東日本は、山手線の【上野‐御徒町】間のお盆の時期を除く8月の午前0時近辺の利用者数が、前年比で66%も落ち込んでいる事例をあげています。

各路線の全時間帯の利用者数も、前年比で3分の2程度に減っているとしています。

この減少傾向について、JR東日本は「感染がおさまった後も、働き方や行動様式が元に戻ることはない」と判断しています。利用者の減少はダイレクトに売上減少につながるので、運行本数を減らすのはわかりやすい対応策です。

とはいえ、今回の終電繰り上げは単なるコスト削減だけが目的ではないでしょう。というより、30分程度終電を早くしたところで、コストが劇的に減るわけがありません。

しかし、今回JR東日本は積年の課題だった現場の人員・人材不足に対して、ようやく対策できることになったのです。

これはJRだけの課題ではないのですが、今の時代は現場の技術・技能を次世代に受け継ぐことが難しくなっています。背景に人口減少の問題があり、現場で働く人の高齢化・引退が進む中で、技能・技術を受け渡す次世代の人員・人材が確保できないという難題に悩まされている企業は少なくありません。

鉄道のメンテナンスの現場でも、同じ問題が長年指摘されています。

こうした中、JR東日本は次回のダイヤ改正で、保守点検部門の働き方改革を進めて人材確保をしやすくすると同時に、メンテナンス作業に大型機械を導入して人手のかからない作業現場をつくろうとしています。

これだけで問題解消とはいかないでしょうけれど、難問解決の糸口は見出せるようになるかもしれません。

運行本数を減らすのは、公共交通機関たるJR東日本が批判を受けやすい施策です。実際に深夜まで営業している飲食店関係者からは、SNSなどで恨み節も聞こえています。

今まで通りの社会であったら、それこそ利益至上主義に走ったとか、身勝手だとかで大炎上していたかもしれません。

しかし今回はコロナ禍の影響という大義名分があるため、理解を得やすい環境になっていたと思います。言葉は悪いですが、コロナ禍の利用者減少はJR東日本にとっては「渡りに船」だったかもしれません。

JR東日本が終電を繰り上げるとどんな影響が出るか?

まず考えられるのは、私鉄や地下鉄がJR東日本の運行時間に合わせて終電を早めることです。

東京メトロは、終電を早めるなどの検討はしていないということです。東急電鉄、小田急電鉄も具体的な方針は決めていないと、メディアの取材に回答しています。

しかし、いずれも「現時点では」という言葉がついています。将来もこのままとは言っていません。

実はJR西日本では、線路の補修作業時間を確保するために、昨年から終電を繰り上げることを検討すると公表していました。その準備として利用者アンケートを実施し、特に医療機関には個別の聞き取り調査も行っていたそうです。

「他社の終電への接続を確保する」条件でアンケートをしたところ、終電繰り上げに反対する人の割合は数%しかなかったそうです。

また通常医療機関のシフトは、終電の時間帯が出退勤にかかることはないそうです。

JR西日本ではコロナ禍がなくても、10年後の2030年には人口減から乗客が減ることを想定して準備をしていたのですが、そのタイミングが10年前倒しで来たと捉えているようです。

人口減ではなくてコロナ禍が利用者減少の理由となりましたが、リモートワーク普及の流れや首都圏から地方への人口移動の兆しをみれば、私鉄各社や地下鉄も遅かれ早かれ運行本数を減らす方向で動き出すことになるでしょう。

春先に、IT系企業が会社ごと地方に引っ越したとか、完全リモートワークを導入して本社事務所の賃貸契約を解除したとか、ニュースで流れていて驚きましたが、最近は若い人が家族で東京から地方に引っ越したというニュースを見ても驚かなくなりました。

そういう人が増えている印象です。

ほんの数か月前までは、東京一極集中の弊害が懸念されていましたが、流れは逆転しつつあるのではないでしょうか?

少なくとも治療薬とワクチンがインフルエンザと同じくらい簡単に手に入るようにならなければ、とにかく東京に出ていこうという時代ではなくなりました。

もちろん、いろんな事情で東京から動けない人は多くいます。しかし、この半年ほどで世の中の価値観は激変しています。

ラッシュに揉まれてオフィスに通い、仕事が終わってから遅くまで飲み歩くという行動様式がメジャーではなくなった今、鉄道会社も以前と同じダイヤ編成を続けるとは思えません。

深夜営業の飲食店は、終電が早まると売上が減るという懸念があるでしょう。

確かにいくらかそういう面もあると思いますが、そもそも利用者減少が終電繰り上げをこのタイミングで行うきっかけになっているので、終電の時間帯に関わらず深夜営業の飲食店をすでに苦境に立っています。

賢明な経営者なら、ウィズコロナの時代にどうやって商売を続けていくか、アイディアを練っていると思います。

まとめ

終電時間を繰り上げるのがおよそ半世紀ぶりだ、ということが驚きでした。この50年間、日本人の生活様式はどんどん夜型になっていたのですね。

わずか30分ばかりのことですが、遅くなり続けていた終電の時刻が早くなるのは、後年振り返ってみれば、時代が節目にあることを象徴する出来事になっているかもしれませんね。


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